ぱんぺろ日誌

気が向いたトキに。なんだかんだと。

信じる?

 

道化 を 信じる?


 告白しないといけないことって、
 すくなくありません。

 告白しないといけないことって
 ほとんどの隠し事と
 叶えられないまま、忘れられた約束の嘘、

 隠し事、と、嘘。は肯定と否定のゆれる波。
 銀いろの匙でまわす、ひとすじの髪
 自分だけの鏡に映す、誰かが昇る、

 いつでも裁てる蜘蛛の糸、人にだけ吐く嘘を。
 鋏のやいばのあまい噛み合わせを、きしゅ

 きしゅ。と確かめるのは、
 わたしは、
 いつでも、あんたの糸を裁ってきたから、

 自分には吐けない、嘘を裁つ。
 自分にだけは、吐けない、嘘を裁つ


  ・ ・ ・ ・ ・


 ウチには洗濯機がありません
だからコイン・ランドリーという便利場を
小春日に照らされたゲートボ ール場のように仰ぎ見る気持ちを
常に抱いてなくてはならないと、よ く間違いている
洗濯機だけではありません
ウチには色々とないのだ、うっふふ
それらいらないモノが文明世界の物質面を常々刷新してゆく場合
誰かが常に先頭をはしる
その傍ら、いつだって誰かが置いてけぼりだ
わたくしの場合、大体そちらの「常」だといって、な~にも問題がないと訊く

 だって

 常套句が

「かつての屯田兵の日記では彼らの生活の日常は云々」

「アフリカでは何秒毎にこどもの命が失われていて云々」

と、おっさんになっても社会的な熟成を必死に拒む幼い記憶が、いま目に映る平成末期のこの紊乱した社会を推し計る、極論で語れないはずの日常の型を無理槍こじつける、道化に求められる条件の幾つかを、どうにかして確かめたいのだ。
確かめながら、人に問う
多面体であるサディスティックと、マゾヒスティックの検証
それが通奏低音
責任の所在がいつも不明で笑えない、笑


 * * * * *


 先日、コインランドリーと自宅間を三往復。
積み重なった洗濯物を運び、洗った
絞られた洗濯物は、物干し場と化したアトリエにずらり並んだ
イーゼルは便利器
カンバスを架けるだけが能じゃあない
他に何を架けるかのセンスが問われる
今朝は早起きし、生徒さん達が来る前にお片づけ

 三往復分の洗濯物ってどの位の量?
喩えれば、ピラミッドに錯覚しそうな形象といっても、なんのこっちゃだろう
あの奇跡の建造物と、蒸れきって饐えきった脱衣の堆積を同一視する気持ちが解るか?
そんな大質量の端からちぎっては投げ、でっかいプラスチックの篭に力の限り詰め込むのだ
詰め込む詰め込む。
詰め込めど詰め込めど一向に減ってゆかないヨゴレものを、何と喩えられるだろうと考えて、ピラミッドとすれば

 ギチギチに詰め込んで三往復もしてまだまだ減らず
、身体より、心が疲労するよね、
お洗濯
洗濯ものに限らない
あらゆる片づけ、苦手だよ

腐海に沈みそうね」

 学生の頃の下宿をそう評されて
冷蔵庫の下に王蟲の抜け殻を拾う
共生、ということばが好きだから
今以て大差ないが、焼き払わずに共存してい・・・・、る


 * * * * *


 ピラミッドには、不思議な力があるって言うよね
死体が腐らないとか
集中力や判断力が増すとか
ピラミッドに置かれた刃物は、刃こぼれし難くなる。だっけ?
内部構造も
出入口がないので精確には解らないけれど、人が入れる場所以外にも、部屋や回廊がある事が実験で分かっているんだよね。確か

 よく覚えてないや
 古い記憶だもん


 世界に謎はたくさんだから
神々の指紋』って本、読まれた方もいると思うけど、あれ面白いよね
メルカトル氏が、
メルカトル図法を考案した際、参考に(パクリ?)したとされる、現存する古地図に描かれているのは分厚い氷に閉ざされる以前の、南極大陸がまだ地表を有していた遥か昔の沿岸地形で、現在汎く言われる生物の進化過程上、その頃の地球に人類はまだ生まれてすらいない・・・・、
つまり、存在する筈のない地図が、しかし現実に存在するのだ
ではこの地図の作者は一体誰なのだ…なんて、鳥肌立っちまう
プギャー^^

 UMA(未確認生命体)とか。
A・C・クラークの『海底牧場』、小学校の図書室で時間も忘れて、謎の巨大な影の追跡にドキドキした。
シー・サーペント
雪男とか、モスマンとか

ネッシーとか。イッシー
眉唾さんかも知れないけれど、謎には夢があっていいよね
不思議があって素敵


* * * * *


不思議って言えば。
みんなは幽霊を信じる?
幽霊は不思議じゃない事実だ!
って意見の方からはお叱りを受けるかも知れないけれど多分霊感ゼロのぼくは、そこまで断言できません
じゃあ信じるって聞かれたら、信じるよ、めいびー

 何故ってちょっと理屈じゃ説明できない体験のひとつふたつ、誰にでもあるでしょう?

 とある日曜日。
目が覚めてしばらく布団の中で雨を聞きながら、考え事をしていたところ、アトリエの方からデッサンの音がする
寝せ気味にした硬目の鉛筆が、紙に速い線を重ねる音だ
デッサンは時々手を休め、速度を変えながら、いい調子なのが伝わる

 モチーフは何だろう・・・・

 音の具合は……、東向きの姿勢。
だからレモンとグラスか、真紅の布にグレープフルーツふたつの瓶、牛角に幾何形体の静物か、アリアドネ
鉛筆だからアリアドネかな

 日曜日、アトリエはお休み
時計は午前8時前
神様だってまだ寝てる
描いているのは、誰だろう

 この、誰もいない筈のアトリエから聞こえてくるデッサン。
前にも一度だけありました
その時も、静かな雨が降っていて
これで二度目。
寝ぼけてなんかいません
酔いも、完全に醒めています
前回、初めての時は、足音をさせると同時に筆勢がぱったり止んだので
今回はより慎重に。抜き足、差し足
けれどまたしても
うっかりちいさな音を立ててしまいました。

 するとデッサンは、すうっと消えるのです
デッサンだけでなく、紙も、鉛筆も、体ごと芯まで
居なくなるのではなく、その全てが消えてゆく感じ
どこか遠くの世界に通じる扉の向こうへ、ふっ、と
帰ってゆく
当然アトリエを覗いても、もう誰の姿もありません

 デッサンの音から伝わったのはモチーフとそれを見つめる目、
そして画面の平面。
それらが結ぶ三角の中心に在る、描き手の魂
すると一瞬、その誰かの感情のようなものが滲むようにぼうっと残されて、見えるような気がするのです
消えてしまった後にも、魂のあっただろう辺りが、かすかに光り輝いて


 * * * * *


 勘違いかもしれないンだけど、なぁんかリアルなんだよね
これって幽霊?
日本の幽霊はコワいのが多いけど、外国の幽霊はなかなか楽しい奴がいる。らしいね
タップを上手に躍ったり
子どもみたいな悪戯したり
だったら絵が好きな幽霊だって、いたっていい

きっとデッサン、上手だよ